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イルカの『涙』の成分

 
単行本の第1巻。『NARUTO-ナルト-』の物語の冒頭の部分です。まさか、持ってない人はいないと思いますが(笑…ブック○フとかで、100円くらいで買えると思います)、できれば首っ引きで考察を味わって欲しいです。『NARUTO-ナルト-』の行く末を決定付けたと言って良い程の力のこもった、キッシーの渾身の「描写」です。一緒に味わって行きましょう。

「ギャハハハハハ」

ナルトが火影岩に落書きをしています(1巻/9頁)。これに性的な心理分析を踏まえた考察もできるけど、ここは正攻法に「自己顕示欲の突出」と考える事にします(笑)。ここはマジで「ドス黒く」なったら別のすっぐぅおーいアプローチがあるんですが、年明け早々に、何ぼ何でも…(汗)。

「バーカ!!
うっせんだってばよ!!
お前らさ!お前らさ!
こんな卑劣なことできねーだろ!!
だが、オレはできる!!
オレはスゴイ!!」

罰当たりにも火影岩に落書きをするナルトを避難する里のオトナたちにナルトはこう言い放ちます(1巻/11頁)。ナルトが「オレはスゴイ!!」と言うのは、「こんな卑劣なこと」を、公然と誰にもはばからず、自分の「責任」でやってのけるところにあると言っているのですが…。でも、よく考えると、これって変な言い草ですよね。

何故だか、ナルトは「里の嫌われ者」…種明かしをすると、その「腹」にはかつて里を壊滅寸前にまで追い込んだ「九尾の妖狐」が封印されています。里のオトナたちには「ナルト=九尾」であり、ナルトは(何故だか)忌むべき存在だった。それが、子供達にも伝染してナルトは無視されたり、意地悪をされたりしてた。簡単に言うと、虐められてた…。

ナルトに対する「虐め」は陰湿な内容だったと思われます。陰に隠れてコソコソと、自分には危害の及ばない安全圏から、一方的に攻撃をする…その「卑劣」な行いをナルトの「無意識」は責めているのです。だから、人目をはばからず、公然と「悪事」ができる自分を「スゴイ!!」と言っているのです。はっきり言って、この悪戯はナルトの「イヤミ」です。でも、無垢なナルトはそれを考えてはやってない。もっとも、ナルトを避難するオトナたちも、それを感じてはいない。変なところは鈍感なんですね。人って…。

「おーおー!
やってくれとるのォ
あのバカ!」(ワシの顔にまで)

恐らく、ナルトの行いの深層に気付いていたのは三代目・火影だけでしょう。しかし、三代目はその立場や、恐らくは「九尾事件」の真相の秘匿の為にナルトを直接的に擁護することは出来なかった。だから、常に傍観者としてしかナルトに接する事はできなかったのです。悔しかったろうな…辛かったろうな…と思います。

イルカはナルトの監督責任とか、三代目に対する気遣いで一杯一杯でそこまでは気持ちが及んでいません。ナルトとしては、この悪戯の根っこの部分をイルカに気付いて欲しかった(無意識が…ですけど)んでしょうが、どうもイルカは頓着してない。イルカはナルトの「本心」を理解してはいないようです。不自然です。不可解です。イルカって「微妙」だと思いませんか?

僕は、イルカの「微妙さ」に黒くなっています…。

結局、ナルトは、この悪戯をこっ酷く(学業不振も相まって…)叱責され、後始末を課せられ、居残りで火影岩を磨かされる羽目になります(当たり前だ!!)。イルカはそれを見張っているんですが、ナルトの「別にいいよ…家に帰ったって誰もいねェーしよ!」(1巻/15頁)に絆(ほだ)されてしまいます。

「ナルト…」(イルカ)

「今度はなにィ?」(ナルト)

「…ま…なんだ……
それ全部きれいにしたら
今晩、ラーメンおごってやる!」(イ)

「よーし!!
オレさ!オレさ!
がんばっちゃお!!」(ナ)

こうしてラーメン好きのナルトが作られていくのです(笑)(1巻/16頁)。イルカはナルトの好物がラーメンだと知っていたんでしょうね。しかし、「一楽」ではラーメンに半ライスが付くんだろうか?晩ご飯だから、しっかり食べさせてあげたいな…なんて、丸っきり僕の食生活じゃないかーッ!!(汗)

もしかしたら…なんですが、イルカは三代目の密命を帯び、ナルトを監視する「お目付役」だったんではないでしょうか。この後、カカシがそれを任されるまでの…。つまり、アカデミーの教官(ナルトの担任?)以上の役割を帯びていた…と。もっとも、イルカもそんなに深い事情までは知らされず、三代目の指令を忠実に履行してただけのような描写ではあります。本格的なお目付役はやはりカカシが最初でしょう。

「一楽」のシーンに戻ります。

「よーするにィ
火影の名前を受けついだ人ってのは
里一番の忍者てことだろ。
特に四代目火影って
里をバケ狐(九尾)から守った英雄らしいし
このオレはいずれ火影の名を受けついで
んでよ!
先代のどの火影をも超えてやるんだ!!!
でさ、でさ、
里にオレの力を認めさせてやんだよ!!」

ここで、ナルトはイルカに「夢」を語るのです(1巻/17頁)。ナルトがラーメンを食べながら喋る喋る…(笑)。普段は余程、寂しい夕食なんでしょうね。ナルトは、めちゃくちゃ楽しそうなんですが、それが逆に可哀想だったり…。で、翌日、卒業試験にナルトは落第。「分身」はナルトにとっては苦手な術だったんですね。イルカは情に流されず、ダメなものはダメとしてナルトを落第させました。この辺はしっかりしてるんだよな…。だから、その他の綻びが気になってしまう…。微妙に感じてしまう。

それで、そのナルトの落胆に付け込んだのがミズキでした。ミズキはナルトを唆(そそのか)し、火影が保管する「禁術の大巻物」を持ち出させます。三代目・火影の猿飛がナルトの「お色気の術」の攻撃で、鼻血出血して沈黙しちゃうのは、ドーかとは思うんですが(笑)、ナルトはまんまと「禁術の大巻物」の持ち出しに成功してしまいます。ここまで独りでできちゃうスキルが、ナルトにはあるんだから、卒業認定してあげて良いんじゃないかと思うんですが…(笑)。

ナルトの追跡のドタバタの中、結局、ミズキの教唆や「禁術の大巻物」強奪の策略もイルカにバレてしまうんですが、今度はミズキがナルトとイルカを亡きものとし「禁術の大巻物」を奪おうとします(ミズキって結構、強いのね)。ミズキの奇襲にイルカが手傷を負い情勢がミズキに傾いて行きます。ついに、ミズキがナルトに事の真相を語り始めます(1巻/33頁)。

ちょっと、横道に逸れます(汗)。

「ナルト!!
巻物は死んでも渡すな!!
それは禁じ手の忍術を記して
封印した危険なものだ!
ミズキはそれを手に入れるため
お前を利用したんだ!!」(イルカ)

「ナルト…
お前が持っていても意味がないのだ!
本当の事を教えてやるよ!」(ミズキ)

ここで気になったのが「禁術の大巻物」の正体です。禁術が収められている他に、「(封印の書まで手の内にあるとなると…)自力で封印を破り九尾狐になる可能性も万が一だが考えられる」(三代目)(1巻/43頁)とあるように、ナルトの封印に関する「術」も記述されているようです。それって、八卦の封印式を解く術式。つまり、「ナルトの鍵」の事でしょ。

ナルトは「ナルトの鍵」を目にしている可能性がある!

そして、木の葉のセキリュティが余りにも脆弱(ぜいじゃく)なので、それを危惧した自来也が、「禁術の大巻物」から「ナルトの鍵」を巻物蝦蟇(仮称)に写し取って喉の奥に保管し、自来也が見張った…のではないかと、僕の妄想心が騒いでいるのです。三代目と自来也はいろんな情報交換をしてはいたんでしょうね。一度も二人が実際に対面した描写なかったけど…。自来也と三代目の関係性に関しては「考察」を錬ってます。まだ大まかにしか出来てないから先になると思うけど、期待して下さいね。

工事中でーすッ!!

余談ついでに(汗)、この巻物は自来也が腰にぶら下げてた大巻物とは違うと思います。自来也は既にあの大巻物を「予言の旅」で携行していましたから。自来也が大切に持つ大巻物は「蝦蟇の力」を収めたもので、大ガマ仙人によって与えられたものなんだと、僕は考えています。

で、本題のミズキ。黙ってたら、結構なイケメンなんですが、悪辣(あくらつ)な表情でペラペラ喋るんです(1巻/34頁)。新宿でホストでもやれば、ブイブイ言わせる感じの優男(やさおとこ)なんでけどね。結構、稼げると思うんですけどね…(笑)。

「12年前…
バケ狐を封印した事件は知っているな
あの事件以来…
里では徹底したある掟が作られた」(ミズキ)

「…ある掟?」(ナルト)

「しかし…ナルト!
お前にだけは決して
知らされることのない掟だ」(ミズキ)

「…オレだけ…!?
…何なんだ
その掟ってばよ…
どうして…」(ナルト)

「ククククククッ」(ミズキ)

「どんな…」(ナルト)

「ナルトの正体が
バケ狐だと口にしない掟だ」(ミズキ)

「え?どっ…
どいうことだ!!」(ナルト)

「やめろ!!」(イルカ)

「つまり
お前がイルカの両親を殺し―!!
里を壊滅させた九尾の妖狐なんだよ!!
お前は憧れの火影に封印された挙げ句―」(ミズキ)

「やめろー!!」(イルカ)

「里のみんなに
ずっと騙されていたんだよ!!
おかしいと思わなかったか?
あんなに毛嫌いされて!
イルカも本当はな!
お前が憎いんだよ!!」(ミズキ)


「ちくしょう!
ちくしょう!!
ちくしょう!!
ちくしょう!」(ナルト)

「お前なんか
誰も認めやしない!!」(ミズキ)


ミズキは執拗にナルトを「言葉責め」にします(1巻/37頁)。しかも、その間、イルカは口を挟むものの「やめろー!!」としか言ってないです。僕はこのシーンに「黒く」なってしまっているのです。イルカは、決して「違う!!」とは言ってない。つまり、ミズキを否定してはいないのです。

ミズキは「黒いイルカ」だった!!??

ある意味、ミズキはイルカの中の「闇」だったんではないか?と僕は考えています。だから、止めようとはしますが、イルカはミズキの「言葉」を否定し切れないのです。内心、イルカはミズキと同じ事を考えていた。イルカもミズキが見るような目でナルトを見ていた…ナルトをあんな目で見た事があったのです。

ミズキが言う「お前が憎いんだよ!!」は、イルカにとっても「本心」だった…そう言う、描写だったと思います。イルカの悶えるようなミズキの受け入れ方はそれを如実に物語っています。ミズキはイルカの中の「闇」を適格に言い当てていたのです。と言うか、ミズキはイルカの中の「闇」そのものだったのです。

「親の愛情を知らず
里の者にはあの事件のことで
けむたがられる
だから人の気をひくために
いたずらをするしかなかったのじゃ
どんなかたちであれ
自分の存在価値を
認めて欲しかったのじゃよ
強がってはいるが
つらいのはナルトの方じゃ…………」

イルカの脳裏には三代目の「言葉」が去来します(1巻/37頁)。その「言葉」を噛みしめて苦悩するイルカがそこには居ました。イルカはミズキと闘っています。傷を負い、血を流しています。物理的な闘い以上に、イルカが刃を向けるのは、内なる「闇」…もう一人のイルカ。イルカの中に棲むミズキであったのです。

『ぐっ…』

ミズキは振りかぶった風魔手裏剣をナルトに投げ付けます(1巻/38頁)。しかし、それをイルカは身を呈して防ぎます。(エッ?防いだ…違うな)イルカはワザと背中で風魔手裏剣を受けたんです。これまでイルカがナルトに負わせようとしたかも知れない「痛み」を、自分で受ける事を望んだ結果なのです。これはイルカの「ナルトへの贖罪」だったではないかと、僕は考えています。

そして、イルカは自分の過去を思い出すのです。親を亡くし孤独だったイルカ。その反動で悪戯ばかりしてた子供時代。イルカはナルトと同じような痛みや孤独を味わって来たのです。寂しかった。辛かった…。皆の前で悪ふざけして気を引いて、戯(おど)ける。でも、独りきりの部屋では孤独に押しつぶされそうになっていた…。

幼年期のイルカはナルトと同じ境遇だった…!!

イルカはもう一人のナルトでもあったのです。イルカの中にはナルトが居て、それがミズキと言う「闇」と闘っていたのです。イルカの中には親を九尾に殺された(ミズキもイルカと同じような境遇だったのかも…)恨みや憎しみと言った「闇」と、孤独と失意の中で苦しみながらも必死に抗う「光」が同居していたのです。

その愛憎悲喜こもごもの、ごった混ぜの感情の中で、イルカは揺れ動いていたんです。そして、この機微がイルカの持つ「微妙さ」であると、僕は考えています。激しい闘い。「光」と「闇」が拮抗するなかで、イルカは必死に思い起します。かつて味わった自分の「苦しみ」を…。忘れ去ってしまいたい過去を…。

「両親が死んだからよ……
誰もオレをほめてくれたり
認めてくれる人がいなかった
…寂しくてよォ…
クラスでよくバカやった
…人の気をひきつけたかったから
優秀な方で人の気がひけなかったからよ
全く自分っていうものが無いよりはマシだから
ずっとずっとバカやってたんだ」

イルカが独りぼっちで踞(うずくま)る寒々しい部屋…。
思い出したくない冷たさ。それは、孤独。
自分を覆い尽くしてしまうような「闇」…。

「苦しかった」

イルカの「本心」の露呈……。
この「苦しみ」の中をイルカは生きて来たのです。
そして、同じようにナルトも生きているのだと…。
イルカはそれを認めるのです。
イルカは「光」を思い出すのです。
そして、イルカの内から「贖罪の念」が漏れ出します。
それは、ナルトへの「共感」と言い換えても良い。

「そうだよなぁ…
ナルト…
さみしかったんだよなぁ…
苦しかったんだよなぁ…」


イルカの涙がナルトに降り注ぎます(1巻/40頁)。イルカの涙は勿論、風魔手裏剣を背中に受けたからではありません(笑)。あの涙はイルカの「後悔」の涙であり、「謝罪」の涙だったのです。自分が受けた苦しみをこの子にも感じさせていた。それに気付いていたのに、目を背けていた…。イルカも弱かったのです…。

親が子供に教える「道徳」はただ一つ。

「自分がされて嫌な事は他人にしてはいけない!」

それは、凄くシンプルな「心構え」なんだけど、今のオトナ(の多くは)はそれを忘れてると思う。僕も忘れてる時がある。通勤電車でも、そんな「忘れてる」だろうな…と感じるオトナをよく見かけますよね(苦笑)。きっと、その人も(子供を養っている)「親」なんだろうけど、忘れてる…。「心」が疲れてるのかな。働く事で一杯一杯…。でも、それは家庭を守る為。愛する子らを守る為…なんだけど…。今は、そんな哀しい時代ではある。

だから、と言ってオトナが「大切な事」を教えて行かないと、子供らにはなかなか見つけられなから、ここは奥歯を噛みしめて、オトナが踏ん張る必要があると思うんです。オトナがオトナとして、清らかで凛然とした「行い」を、子供らに示し、伝えて行く必要があるんじゃないでしょうか。それがオトナの役割だと、僕は思う。忘れちゃいけない。思い出さないといけない。何とかしないといけない!!

イルカが零した「涙」を
オトナは重く受け止めるべきです。


生活、社会、時代、世界…。何かのせいにしちゃいけない!!(何もかも「九尾」のせいにする木の葉のオトナと一緒になってしまうから…)オトナが堂々として、踏ん張って、最低限の「心構え」だけは、子供らに伝えていかないといけない!!自分がされて嫌だと思う事は決して他人にしちゃいけないんだっ!!一人一人がそれを肝に銘じれば、世の中はどんなに清らかに澄み渡るでしょうか!!

弱輩で(しかも、倫理観の乏しい…汗)僕がこんな事、言っても響かないかも知れないけど、そこは自戒の念も込めて(汗)…しっかりと伝えて行くべきと思います。イルカが示したように…。傷だらけになりながら、自らも変わって行ったように…。こんな哀しい時代だからこそ、オトナがしっかりと地に脚をつけて踏ん張らにゃならない!白いケルベロスは、そう「心」に念じて止みません(だから、テンプレを白くしたんではなくて…汗)。

「ごめんなァ…ナルト
オレがもっとしっかりしてりゃ
こんな思いさせずにすんだのによ」

だから、イルカはナルトに謝まるのです。イルカは本当に済まない気持ちで一杯だったのだと思います(ここにシンパシィを感じちゃう)。しかし、このイルカの「涙」の意味は、ナルトには判らなかった。それは、ナルトにとってはこれまで一度も味わった事のない「暖かさ」だったから。何がなんだか判らなくて、恐くなったのか、ナルトは一目散に逃げてしまいます。

「ナルトォ!」(イルカ)

「クククク
残念だがナルトは心変わりする様な奴じゃねぇ
あの巻物を利用し
この里に復習する気だ
さっきのあいつの目
見たろ!?妖狐の目だ!」(ミズキ)


「…ナルトは…
そんな奴じゃない…」(イルカ)

背中に刺さった風魔手裏剣を抜きながら、イルカはミズキを完全に否定しています(1巻/41頁)。イルカはミズキ=「黒いイルカ」を…イルカは自分の心の「闇」を乗り越える事が出来たのです。この後、両者は交戦しつつ、逃げ出したナルトを追跡します。イルカは変化の術(ナルトに化けてた)を駆使してミズキをあぶり出すも、逆にミズキの手に掛かりそうになります(イルカが弱い?ミズキが強い?)。

「ククク…
親の仇(ナルト)に化けてまで
あいつをかばって何になる
バカはお前だ
ナルトもオレと同じなんだよ
あの巻物を使えば
何だって思いのままだ
あのバケ狐が力を利用しない訳がない
あいつはお前が思っているような…」

尚も黒いイルカ=ミズキはイルカを「闇」に誘います(1巻/47頁)。でも、イルカが再び「闇」に支配される事はなかった。もう、揺れなかった。微妙じゃなくなった…イルカはそれに毅然とした態度で対応しています。ここで、ナルトが近くに潜む事にイルカは気付いてはいません。だから、これはイルカの「本心」だと思います。イルカはナルトに対する「恨み」を完全に払拭できたのです。

「ああ!」

近くで二人の会話を聞いていたナルトが凍り付きます(1巻/48頁)。この文節だけを受けると、肯定したともとれる。イルカが気を持たせたように切れ切れに話すから…。ミズキに手傷を負わされ瀕死でもないけど、結構、ヤバい状態ですから、仕方ない局面なんですが、ナルトは思いっきり落胆したかに見えます(キッシーの意地悪!!)。

(ケっ…
やっぱそうだってばよ!
ホラな…イルカ先生も
本心ではオレのこと…………
認めてねェーんだ)


このままだったら、『NARUTO-ナルト-』が読み切りで終わってします(この後、ナルトが「九尾の妖狐」になって世界を終わらせちゃうとか…笑)。でも、「そんな事はさせない!」と、ここでイルカが踏ん張るのです(これがオトナに求められている「頑張り」だと思います)。イルカは、僕らに、男の『ド性骨』を見せてくれるのです(笑)。

『バケ狐ならな。けど、ナルトは違う』

ポカン顔のナルトなんかお構いなしに話は進みます(笑)。ナルトは一応、樹の陰に隠れてますから…。一応、忍者だし。イルカの言いつけを守って、「禁術の大巻物」を大事に抱え込んで身を潜めているのです。イルカの言葉に呼応して、大巻物を抱きかかえるナルトの腕が<ギュウ…>と締まるのが切ないです。

「あいつはこのオレが
認めた優秀な生徒だ
…努力家で一途…
そのくせ不器用で
誰からも認めてもらえなくて……
あいつはもう
人の心の苦しみを知っている………」


これって、イルカの事じゃないの?と、
僕は、ほくそ笑んでしまいました(笑)。
イルカの中に棲む「光」が「闇」を一掃したんですね。
イルカも又、このエピソードで成長を遂げたのです。
人はどんなに歳を重ねようと成長できるのです。
人は変われるのです。昨日とは違う今日があるように…。

「今はもうバケ狐じゃない
あいつは木の葉隠れの里の……
うずまきナルトだ」

ナルトは溢れ出る涙と鼻水で、もうグジャグジャです(1巻/50頁)。もし、声を出して良い状況なら、ナルトは大声で泣きじゃくったでしょう。イルカは「木の葉の里のうずまきナルト」と言う忍者を認めたのです。ナルトの存在を認めたのです。ナルトの「心」をイルカは優しく、暖かく、柔らかく…抱き締めた。これまでナルトが一度も感じる事が出来なかった「愛」を感じた…ナルトが「愛」を知った…瞬間だと思います。

イルカはナルトを許せたのです!!

イルカは大切な親を九尾の妖狐に殺されています。そのせいで孤児になり、辛く寂しい幼年期を過ごさざるを得なかった。だから、イルカは九尾の妖狐が憎かった。そして、その憎き妖狐を宿したナルトも憎かった…のだと思います。イルカはナルトを抱き締める為に、先ず、ナルトを許す必要があったのです。これまで、イルカはナルトをこんな風に許せなかった。

…だから、微妙だったんです。

イルカの承認は、ナルトが存在する為の大前提でもあったと言って良い。ナルトには何の罪はないのに…。不条理極まりない話です。でも、誰もイルカを責められない。何者かのせいにしなければ、誤魔化せない…人は弱い生き物なのです。弱い生き物だから、イルカは泣くのです。そして、僕もその姿を見て泣いてしまう。

「!………」

「ケっ!
めでてー野郎だな
イルカ…
お前を後にするっつったが
やめだ…
さっさと死ね」

ミズキは尚も毒づき、風魔手裏剣をイルカに投げつけます(1巻/51頁)。消え去ろうとしている自分の「存在感」に抗うかのように…。それは、悪意の「断末魔」にも見えてしまいます。しかし、ミズキはイルカをできれば殺したくはなかったようです。ミズキはナルトだけが憎かったんです。やはり、ミズキはイルカと同じような境遇だったんだと思います。ほんの少し、イルカより器用だった…のかな。でも、僅差だな…。

「…イルカ先生に手ェ出すな…」

思いきりミズキを蹴飛ばし、イルカとの間に割って入るナルト。大巻物を手に鋭い眼光で威嚇します。その目は自信に満ち溢れています。そこには落ちこぼれの「ドベ」ではなく、凛とした「忍」としてのナルトが立っていました。この時のナルトの威圧巻は完全にミズキを圧倒しています。ナルトはイルカを守る為に、大切な人を守る為に行動しているのです。

『殺すぞ…』

この後、「禁術の大巻物」で独修した「多重影分身の術」で(そんな高度な術をこんな短期間で、しかも独りで修得出来んのかよーッ…と何処からともなく声が…聞こえない…聞こえない…笑)ミズキをボコボコにしてしまいます。そして、一件落着…。しかも、ナルトが一番苦手だった「分身の術」がイルカを救う「力」になるとは…。ミズキにはお気の毒ですが…(笑)、ナルトはめちゃくちゃ強かったッ!!

「人は…
大切な何かを守りたいと思った時に
本当に強くなれるものなんです」


この先の、ズーッと先のエピソードで、「白」が自らの命と引き換えにナルトに残す言葉。その形が露になる…ズーッと前に、ナルトの天然はそれを<サラッ>とやってのけるのです。ナルトの「魂」は既に「本当の強さ」を知っていたのです。「魂」とはかくなる存在と言う事です。人の無垢は全てを知っている。「心」がそれを邪魔しているだけなのです(詳しくは別の考察で…)。

(へっ!
本当に千人に分身しやがるとは……
その上……
残像ではなく実体そのものを作り出す
高等忍術"影分身"
…コイツ
ひょっとすると…
本当にどの火影よりも…)

イルカもナルトのポテンシャルの高さを感じています。それがナルトが「一楽」で吐いた戯言(ざれごと)に現実味を持たせた…。イルカはナルトに期待してしまったのです。僕らも予感した…。そして、この瞬間から、ナルトと僕らの「冒険憚」(ぼうけんたん)が始まることになったのです。長い長い「冒険憚」が…。

そして、イルカはナルトを呼び寄せます。

「…ナルト
ちょっとこっち来い
お前に渡したいもんがある!」

そして、優しく…その「言葉」をナルトに告げます。

『卒業…おめでとう』

イルカは念の入った事にナルトに目隠しまでしたいます(1巻/58頁)。別に変なプレイをしようとした訳ではなくて(黒汗)、ナルトを驚かせたかったのです。目隠しを外したナルトの目に映ったイルカは額当てをしていません。イルカは自分の額当てを外してナルトに着けてあげたのです。そして、ナルトに告げられた『卒業』。

この時、ナルトはどんなにか嬉しかった事でしょう。ホントはもっと早くに「親」が抱き締めてあげるんだろうけど、ナルトには叶わぬ事。それを、子供のナルトがどうにかできる筈もない。だから、オトナが思いやってあげないといけないんです。イルカはそれに気付いたのです。イルカもナルトといる事で変われたのです。そして、その姿を僕らに示してくた。それを僕らも感じないといけない。

で、イルカの額当てへのこだわりを観察すると、イルカが自分の額当てをナルトに付けさせた描写には大きな思い入れを感じてしまいます。その伏線はこのエピソードの序盤…イルカとナルトがラーメンを食べた「一楽」でのやり取りに残されています(1巻/18頁)。結構、ドタバタとふざけたやり取りなんですが、これを、物語の味わいを深める、美しい「楔」(くさび)だと、僕は受け止めています。

「……ところでさァ…
先生
お願いあんだけどォ…」(ナルト)

ラーメンを食べたナルトが何故だか、
イルカを拝んでいます。

「おかわりか?」(イルカ)

イルカもナルトの雰囲気に訝(いぶか)しさを感じてます。

「んーにゃ
木の葉の額あてちょっとやらしてー…」(ナルト)

ナルトは甘えるような口調だった?(笑)
子猫チャンみたい(ジュルッ……)。

「…あーこれか…!?
ダメ、ダメ!!
これは学校を卒業して
一人前と認められたあかしだからな!
お前は明日」(イルカ)


でもイルカは決してナルトに
自分の額当てを渡さなかった。
おまけにナルトは試験ができずに
落第してしまったし…(笑)。

「あっーだから
ゴーグルはずしてたなァ!」(イルカ)

「おかわり!」(ナルト)

「あ!」(イルカ)

と、まあ、こんなやり取りでしたが、流れで、雰囲気で…僕だったら、ナルトに額当てを付けさせたかも知れません。でも、イルカはきっぱりと拒んだ…。それは、別に大人気ないと言うのでもなく、ナルトが嫌いだった訳ではないと思います。これは純粋に、自分の額当てに対する多大な思い入れがあったんだと思います。決して、他者に触れさせてはならない。自分と同一の存在。それこそ「アイデンティティ」と言うものです。

そこには、イルカの「忍の一分」が存在したんだと、僕は考えています。自分の命にも等しい存在。額当てにはいろんな思いが詰まっているのでしょう。だから、どんな事があっても他人には渡さない。それ程、イルカにとって、忍にとって、額当てとは大切な存在である事が伺い知れる描写だと言えます。

だから、イルカがナルトに自分の額当てを着けさせ、一足早く「卒業」を告げた。この行いはイルカの額当てへの思い入れと対比して考えると、非常に大きな出来事であると言えます。イルカはナルトの「卒業」と同時に、自分の気持ちにも折り合いをつける事ができた…。イルカも過去の「苦しみ」から解き放たれたのです。

「今日は卒業祝いだ
ラーメンをおごってやる!!」

ワナワナと小刻みに軋むナルトの唇(1巻/59頁)。イルカはナルトを許し、認めたのです。これはイルカの「成長」とも言えます。二人は苦しみながら成長を遂げたのです。過去を乗り越える。変わって行く。人はいくつになっても成長できるんです。そして、それを成させたのがナルトです。ナルトの無垢で純粋な真直ぐさ。強烈な「光」。それを眩しく感じてしまう…。

イルカの「微妙さ」は誰しも持つ「闇」であります。同じように、僕の中にも「微妙さ」が淀みます。それを否定はできない…。イルカの「涙」は僕にも染みました。そして、同じ成分の「涙」を、きっと、僕も流している…。僕は弱い。人は弱い。だから、謝らないといけない。それで、許されるなら…。

僕もまた…「黒いイルカ」だったから…(遠い目)。



 

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