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サスケは何故、サクラに「ありがとう…」と言ったのか?

  
「里を出るには
この道を通るから
いつもここに…」

サスケが意を決して里を抜けようとした時、木の葉の里の出口ではサクラが待ち構えていました(21巻/13頁)。サクラの、この台詞から、サクラが毎晩、この場でサスケを見張っていた事が判りました。でも、ホントにサスケの動向を見張るならサスケの住居を窺う方が合理的な筈です。

だから、サクラがこの場でサスケを待ち受けたと言うよりは、この場でサスケの事を想っていた…と言うのがサクラの本心ではないかと、僕は考えています。何故なら、この場所はサクラにとって「大切な場所」だったから…。サクラにとっての(サスケとの)「始まりの場所」だったからだと思うんです。

「…私って…
サスケくんに嫌われてばっかりだね…
………覚えてる?
下忍になって始めて三人組のチームが決まった日
この場所でサスケくんと二人きりになった時に…
私を怒ったわね…」


「…孤独…
親にしかられて悲しいなんてレベルじゃねーぞ」(サスケ)

「…ど…どうしたの
急に…」(サクラ)

「お前
うざいよ」


これが一回目のサスケの「サクラ=うざいよ」です(笑)(1巻/105頁)。第七班への配属が決まり、ナルトが邪魔だったサクラはナルトの生い立ちを中傷するような口調になってしまったんですね。その軽率さがサスケの琴線に触れてしまったんです。この時、サスケは本心でサクラを嫌悪していました。

あの頃…サクラは子供だった…。恋愛に関しては先走ってたけど、「愛」なんて呼ぶには程遠い…「欲」に近い。それでも「肉欲」のような艶っぽさもない…自分本意な…子供っぽい欲求でありました。そして、そのサクラの心無い言葉に、同じように子供だったサスケが切れてしまった…だけなのです。

サスケは「覚えて無い…」と優しさを見せますが(21巻/16頁)、サクラにとってはほろ苦い…と言うよりは、めちゃくちゃ酸っぱい想い出なんですね。しかし、めちゃくちゃなバットフィールではありましたが、サスケがサクラに向けた最初のサスケの「感情」だった事も確かでした。気持ちのベクトルとしては真逆なわけですが、サクラにとってはそれも「最初の記念日」みたいなものだったんではないでしょうか。

それは…決して忘れられない想い出だった…。

だから、サクラはこの「場所」でサスケを想っていた…。

「ハハ…そうだよね…
もう随分前のことだもんね
…でも
あの日から始まったんだよ
サスケくんと私…それにナルトとカカシ先生…
四人でいろんな任務やって
苦しかったし
いろいろ大変だったけど
でもやっぱり何より…
…楽しかった…………
サスケくんの一族のことは知ってる
でも復讐だけなんて…
誰も幸せになんてなれない
サスケくんも……私も…」(サクラ)

サクラに去来する想い出の数々…。辛い事もありました。苦しい事でった山のようにありました。おしっこをちびっちゃうような恐い思いもしました。怪我もした。血も流した。髪の毛もばっさり切り落としたりもしました…。沢山、涙も流しました(ついでに、鼻水も…笑)。でも、思い出すのは、みんなの笑顔ばかり…。

想い出とはそう言うものなんです。渓流の流木や岩肌がツルツルであるように、想い出もそれと同じように「角」(かど)がとれた、優しい丸みを帯びた姿貌(すがたかたち)になるものなんです。人生とは川の流れのようなもの。人はその流れで洗われ、磨かれる。その流れの中で、辛さや苦しさは洗い流され、楽しさだけが残る…。だから、サクラは「楽しかった…」と言えたのです。

「やっぱりな…」(サスケ)

「!?」(サクラ)

「オレはお前たちとは違う…お前たちとは相容れない道にいる
四人でやってきた…確かにそれを自分の道と思おうとしたこともある…
四人でやってきたがオレの心は結局、復讐を決めた。
オレはその為に生きてきた。オレはお前やナルトのようにはなれない」(サスケ)

ここは、「サスケは何故、甘ったれなのか?」でも読んで考えて欲しいんですが、一面的にはサスケは「悲劇のヒーロー」を気取っているようなところもあります。確かに同情に値するような絶望的な出来事=「うちは虐殺」ではありますが、人の感じる、苦しさや辛さ等を比べるのは、非常に滑稽(こっけい)な事と思うべきです。

どんなに楽しいか?どんなに苦しいか?どんなに嬉しいか?どんなに悲しいか?それは、その人の「絶対」であって、人と人との「相対」ではないですから、人の感覚など比べるべきものではないのです。他者と自分を比較して自分を感じている内は、決して心の「平穏」は得られないのです。その行いが「不安」を生む事を忘れてはいけないのです。

サスケの場合は、ナルトの存在が邪魔したと考えて良いと思います。ナルトの「曲がらなさ」は異常とも言えますから…。あれと真正面に向き合ったとしたら、誰だって自分が信じられなくなると思います。あのカカシですら、ナルトには戸惑うのですから、アイデンティティを確立中の少年少女が対峙した日には、皆、間違い無く堕天決定です(笑)。

「………またサスケくんは
自ら孤独になるの!?
サスケくんはあの時
孤独は辛いって教えてくれた!
今はそれが痛いほど分かる…!
私には…家族も友達もいる…
だけど、サスケくんがいなくなったら…
私には…私にとっては孤独と同じ…」(サクラ)

「…………また
…ここからそれぞれ新しい道が…
始まるだけだ」(サスケ)


サスケは、サクラが「孤独」を理解したと悟り、サクラの「存在」を認めています。だから、「それぞれ新しい道が…」となるのです。それぞれがスタートラインに立っている…。二人が同じレベル(境地)に居る…サスケもサクラも「孤独」と言うスタートラインに並んでいる…。サスケにはそれを感じられる賢さや冷静さがあるんです。

ぶっちゃけ、サスケはここで、サクラに悲しみや辛さの大きさを人と比べる事の稚拙さを教えられたわけです。しかし、ここで素直にサスケが、それを認めるわけにはいかないのです。既に、サスケは大蛇丸の下に向かうと決めたわけですから!!リベンジャーとして生きる決意をした直後です。サスケにも勢い(だけは)あったのです。

それにしても、サクラは真直ぐでした。こう言う場合、女の「情」は強いですね。無敵とも言える(汗)。正にイケイケの状態です。サクラは涙を流しながらもサスケに真正面に語りかけています。対してサスケはサクラに背を向けたまま…逃げている。男はいつも弱いのです。サスケの態度ってカカシのリンにとった態度にめちゃくちゃ似てるのね…(汗)。

「………!
私は…!
私はサスケくんが好きで好きでたまらない!!
サスケくんが私と一緒にいてくれれば絶対
後悔させない!
毎日楽しくするし
絶対
幸せになるはずだから!!

サスケくんの為なら何だってする!
だから…お願いだからここに居て!!

復讐だって手伝う!
絶対
私が何とかしてみせるから…
だからここに…
私と一緒に…
それがだめなら…
私も一緒に連れてって…」(サクラ)

「やっぱり…お前
うざいよ」(サスケ)


この期に及んで、サクラに自分の「小ささ」を教えられるとは、サスケも思ってもみなかったわけです。だから、サスケは少し焦った筈です。それに、サスケの想いにも慣性がついていて、そんなに簡単に止まったりできませんから、後戻りは出来ようもない。これも「弱さ」…と言えば「弱さ」なのですが…。でも、サスケの若さで思い止まれるのも気持ち悪いです(笑)。サスケの行いもまた、「自然」なのです。

そして、サスケが、ここでサクラに言った「うざい」は第七班で二人が向き合った時のそれとは全く違うものでした。だから「嫌悪感」が微塵もないのです。それは、第一回目(1巻/105頁)と里抜け(21巻/22頁)の、サスケの表情の微妙な違いにも現われています。この時の「うざい」はサスケの強がりみたいなものだと、僕は感じています。有り体に言ってしまえば、サクラへの「敗北宣言」にも似ています。

「やっぱり…」

同時に、あの時の事を…サクラが今も大切に心に仕舞っている「大切な場所」の想い出を…サスケも覚えているよ…とサクラに伝えたかったのでしょう。それをサラッとやってのけるサスケの心根には、気品がある。育ちの良い気品が優しさに溢れている。サスケの投げかける粗野な言葉が、返って優しさを増幅して仕舞うのです。そして、この「振動」に殺られちゃう女子が多数発生してる…(←これはメモしといて、皆が忘れた時にコソッと使おう!!っと……笑)。

そして、これは「そんな事、言われなくたって判ってるよ」と、サクラの言葉は確かにサスケに刺さっています。第一部の1年間はサクラを大きく成長させたんですね。それを、サスケはこの「別れ」で気付いています。しかし、本心でそれを判っていようとも、決して言葉にできないのもサスケです。サスケがサクラに言った「うざい」にはいろんな想いが詰まってるんですね。

「行かないで!!
行くなら

大声出してでも…」(サクラ)

「サクラ…ありがとう…」(サスケ)

(サスケ…くん………)(サクラ)

サスケはサクラに謝意を伝え、眠らせました(21巻/24頁)。サスケはサクラを眠らせるしかなかった…(笑)。サスケを止める為に泣きじゃくり、鼻水を流し、恥ずかしい事(サスケくんの為なら何だってする!)を恥ずかし気もなく言って仕舞える…サクラのその潔いダメっぷりに「自分自身」を見せられてしまったのです。サスケはサクラに気付かされてしまった…のだから…(汗)。

『NARUTO-ナルト-』の恋愛観に関して、僕が釈然としないのは「男の子の性欲の希薄さ」にあります。もしも、こんな風に女子が目を瞑って縋り付いてくるようなシチュエーションがあったら、男子は見逃さない(見逃すべきじゃない!!勿体ないオバケが出る!!)…と思います。取り敢えず…<ピーッ>くらいは<ピーッ>っとか、<ピーッ>ると…と思うものです。それに、ガイはともかく(笑)、カカシが「イチャイチャ」読んでるだけってのがリアリティ薄いんです。もっと、いき<ピーッ>立ってる子が居ないとおかしい!!(笑)

羊のアニメ(左)

もっとも、「週ジャン」は少年少女誌ですから、表現の制約も多分に存在します。キッシーも歯痒い想いをしてることと思います(黒笑)。だから、いちいち、リアルにイチャイチャしてる描写を挿入する事も出来ないですよね。それこそ、リアリティがない…。だから、男の子の「ノン気」は精神訓練の賜物(たまもの)と理解することにしました。僕だってそうですから…どんなにキレーな女子を見たって、ハァハァしたりしないから…(脂汗)。

はっきり言ってしまうと、サクラはサスケに勝ったのです。確かにサクラの取り乱した身汚さは美しくはなかった。でも、その「情」は一点の濁りも無い…清流のようでした。あれこそ「女」の強さです。男はこう言う「女」のどうしようもない「面倒臭さ」に包まれたくなってしまう生き物なのです。その流れに、その身を浸したくなる衝動に駆られるものなのです。そしてサスケは悟った…のです。

自分は間違っている!!!…と。

それが、サスケの「ありがとう」なんだと、僕は思います。でも、人生には間違っていると判っていても進まないといけない場合もあるし、ホントの後悔を自分の手で拾ってみないと気が済まない時だってありますから、それが人生ですから…サスケがサクラに止められなかったのも、僕の目には「自然」に映っています。それは、サクラの目にもそう映ってましたね。サクラの横顔にはあきらめが漂っていまから…(21巻/24頁)。

ただ、サスケがサクラに「ありがとう」と言えた事で、サスケは少しだけ成長できたとも思います。そして、サスケは新たなスタートラインにたつ事ができたのです。それは、サクラの大いなる「情念」が為させました。これは、ナルトにすら出来なかった偉業と言えます。そして、サスケは自分にかしずく「音の四人衆」に向かって、こう言い放ったのです(21巻/25頁)。

「フン
そんなことはどうだっていい
行くぞ…
…始まりだ!!」


サスケの人生の第二幕の緞帳(どんちょう)は、
サクラによって上げられた…。

 

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