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第405話「遺されたもの」


「ペインとの戦闘でノドを潰されてしもーた自来也ちゃんは
最後、ワシにメッセージを残して倒れたんじゃ」

徐(おもむろ)にマントの襟に手を添えるフカサク。

「それがコレじゃ!」

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「暗号…」(シズネ)

シズネがそう呟(つぶや)くんですが、その時の綱手の表情…。何か思い当たるモノがあるように感じますが、過去の自来也とのエピソードがこの暗号解読の「鍵」になるんじゃないでしょうか?何せ、自来也の辞世ですからね。綱手へのメッセージも刻まれてる…と思いたいんですが…何か?(笑)

「ペインに気付かれんよう。そうしたに違いない
…ここまでが自来也ちゃんの全てじゃ」

多分、ここまでに至る過程を切々とフカサクは説明して来たのでしょう。描写としてその部分は端折られていて、きっと「VSペイン」も克明に伝えられた…自来也がどんなに頑張ったか?どんなに勇敢に戦ったのか?そして、それを伝える事がフカサクにとってどれ程、酷(コク)な事であったか?それを想像できるか?できないか?で、この描写の味わい深さって変わりますからね。

「………
バアちゃんが…行かせたのか…?」(ナルト)

静かに見守るサイとサクラ。特にサクラはドキドキハラハラしてる…ように感じます。もしかしたら、お母さんの心境なのか…なんて思います。サクラは成長した…。ナルトの顔つきも気持ち、シュッとしてやや大人っぽくはなったけど、サクラと対比すると、微妙。特に内面は…どうだろう?(汗)二人の機微の違いに注目しながら読み込んで行ってみて下さい。

「………」(ナルト)

「そうだ」(綱手)

フカサクもそうだったけど、綱手も非常に辛い状況でしょう。50年来の間柄ですし、綱手は自来也に告られてる過去もある。想い出の量を比べるんであれば、ナルトは遠く及ばない。その綱手が言い訳一つせずにナルトの前に居る。それがナルトにはどんな風に映っているのか?ちょっと、焦れったい気分です。

「何でそんな無茶許したんだってばよ!!」(ナルト)

「バアちゃんはエロ仙人の性格
良く分かってんだろ!
たった一人でそんな危ねー所に……」(ナルト)

「よせ、ナルト」(カカシ)

堪らなくなったのか?(笑)カカシがナルトを制します。カカシだって自来也には一言も百言もある人ですから、その訃報は衝撃的だったに違いないです。そして、その衝撃を自分の中で消化しつつ、次の心配をした…この事実をどんな風にナルトに伝えるべきか?…を。その思案が非常に重い負担だったから、カカシと言えども踏ん張り切れず、やや揺らいでるのかもね。

「五代目の気持ちが分からないお前じゃないだろ」

これは自来也と綱手がどんな関係にあったかを想像しなさい!と言う気持ちを抑えて、カカシなりにソフトにナルトに伝えているんですが、人目もあることだし、綱手の心模様を痛いほど想像できるカカシにはこれ以上、踏み込んだ内容は話せないわけです。この場面、この局面は、オトナであればあるほど、心が軋(きし)むのです。


あの「酒酒屋」の暇乞いの回想…

「一人じゃ危険過ぎる…!」(綱手)

「ワシは木ノ葉の三忍だぞ
お前もその意味は知ってるだろ?」(自来也)

自来也が単身潜入した雨隠れの里内部で、雨隠れの頭領、山椒魚の半蔵との一戦の回想。雨隠れの下忍にペインに半蔵が倒されたと聞かされ、焦った自来也が思い出した…。

「この戦い…
おそらく木ノ葉隠れの勝利だ

お前たちは
生かしておいてやろう」(半蔵)

「情けは要らねー!
まだまだ戦える!!」(自来也)

「よせ!自来也」(綱手)

「お前たち三人は強い……
そしてここでさえも生き残った…

この半蔵…
これよりお前たちを
"木ノ葉の三忍"と呼び称えよう

命の代償にそれぞれ名を名乗れ」(半蔵)

雨隠れとの戦争があって、そこで自来也・綱手・大蛇丸の三人は九死に一生を得ています(第40巻/183-184頁)。自来也が雨隠れの里に潜入した時の「VS半蔵」の回想から察するに、半蔵の強さに自来也は畏怖すら感じていました。

また、綱手が自来也に肩を貸し、支えるような描写。そして、辺りに散らばる夥しい数の同胞。そこから想像すると、半蔵の大技が炸裂して、この戦域の木ノ葉の勢力は自来也たちを除いて殲滅されてしまった。

「そしてここでさえも生き残った…」と言う台詞からすると相当な威力の術が発動されて、それすらも凌いだ三人に対する敬意が半蔵にはあったのでしょう。そして、自来也は綱手をこの時、守った…。

大蛇丸は自分だけを防御したのに対して、自来也は自分が傷付くのも顧みず、綱手を庇ったのだと思います。そして、その結果として半蔵に与えられた「木ノ葉の三忍」の称号。それはこの時生かされた三人にとっては「蔑称」でもあったのです。

それを噛み締めて自来也や綱手(大蛇丸も)今に至ってるわけです。だから、少々の事じゃ死なないよ…と自来也はこの甘酸っぱい「三忍」の意味を綱手に問うたのです。そして、綱手を守った事を思い出させた…。それが自来也のタクティクス(笑)。

「美しかったお前も
今や五十のババア…

死に別れた者たちへの想いが
その大きな胸に詰まってるのかと
思うとやりきれんのォ…

普通だったら、これはセクハラなんですが、
相互理解の賜物と言う事で…一つ(汗)。

しかし、それは
この先も増える

だが…しんみりするのはちと違うのォ

ワシらの役目は次の世代のために
手本となり手助けすることに…
そのためなら笑って命を懸ける」(自来也)

事実上の自来也の「死亡フラグ」だったんですが、こう言う凛としたオトナを、自来也は示す必要があったのです。こう言うしっかりしたオトナが子供たちに何かを伝えようとする姿を自来也は残す必要があったのです。それが「生き様」と言うものです。言葉じゃ伝えられないから行動で示す。そう言う教え方を父親はするものなのです。

そして、その想いが…自来也の遺したものが…この執務室仁には充満しているようです。そしてその想いを噛み締めてジッと我慢するオトナたちの態度が、この執務室の雰囲気を作り出している事に気付くと思います。第一、綱手が切れたり、怒ったりしない…。いつもと違うものね。自分だけが苦しいと思って憚(はばか)らないのは子供だ…。

以上、「酒酒屋」の回想…。


「……くそ!」(ナルト)

ナルトの苛立ちも判る。でも、それはナルトの内面の未成熟さを受け入れる前提で…です。サクラの場合はサスケとの別れ(死んだわけではないけど死ぬほど辛かったから)で経験済みで、それをしっかりと乗り越えて「今」があるから、ナルトとの対比が際立つのです。要するに、ナルトは自来也の訃報を未だに受け入れられないで困っているわけです。

「!」(サクラ)

「ナルト!どこ行くの!?」(サクラ)

既にサクラはナルトの保護者っぽい目線になってますね(笑)。ナルトにはナルトの言い分があるんだけど…。そして、それを見守る周囲もそれは判っている。でも、「現実」ってものが先ずありきで、それを受け入れられないでいるナルトにみんな焦れてるのです。そして、その無防備な姿がこの悲しい顛末を引き立てる…負のスパイラルなのです。

「エロ仙人が五代目火影になってたら!
綱手のバアちゃんに
こんな無茶はさせなかった…
ぜってェー…」(ナルト)

そう言いながら、半ば逃げるように火影の執務室を後にするナルト。もし、自来也が火影になっていれば、確かに綱手にこんな任務は与えなかったでしょう。しかし、その場合も自来也がその役を買って出る事は自明の理であり、現状に帰結する事にナルトは気付いた筈です。でも、認めたくなかった…だから、ナルトは振り返らなかった。

自来也は綱手を先に逝かせたくはなかった…。

「ナルト!」(サクラ)

「サクラ…いい
少しそっとしておいてやれ」(綱手)

綱手にはナルトやサクラの気持ちが痛いほど判るから、こんな制し方になる…。二人は若かりし日の自来也と綱手に似ている。友達以上恋人未満の腐れ縁?二人が戸惑い彷徨う様を見るのは、綱手にとっては苦しい。だって、思い出しちゃうじゃないですか。だから、そっとしておけ…と言った?

「でも…」(サクラ)

そして、サクラは綱手の方に目をやりながら、ナルトの子供っぷりを抑え付けるようなサクラの行いも、綱手の前では陳腐だった事に気付いた筈です。この気付きがこのエピソードの終盤に向かう大きな伏線になっています。ピリリと効いた隠し味です。この時、既に綱手は限界だった…。サクラはそれに気付いたのです。

「すみません。フカサク様
ナルトとはいずれまた…」(カカシ)

カカシがフカサクに振るのは綱手に立て直す間合いを与える為です。これぞオトナの優しさと言うべきでしょう。かつて、ペイント自来也の闘いで、二大仙人が自来也に気遣った機微と非常に似ている。ワザと咳き込んだり…。直接的じゃない事がかえって胸に詰まるような思い遣りになる。それを人は学ぶべきだ。

「ああ…それでええ」(フカサク)

これは「カカシGJ!!」と言う意味でもあります(笑)。

「さっき説明した"予言の子"についてじゃけどの…
あの子が自来也ちゃんを
真っ直ぐに慕っとったのが良く分かった
"予言の子"はあの子であって欲しいと…
そう願わずにはおれんの」(フカサク)

フカサクは自分を「じじい蛙」とか、綱手を「バアちゃん」とか呼ぶ事を窘めるでもなく、遮ることもありませんでした。それは事実で、ナルトの物事の本質を見抜く眼であると言う認識があるのでしょう。そして、そう言う眼を持った人格が忍界の行く手を左右する存在である事を願っているのです。

自来也を「エロ仙人」と最後まで言い通したナルト。その姿を真っ直ぐだと評したフカサク。真っ直ぐなだけならペイン(長門や弥彦)も真っ直ぐなんですが、フカサクが期待するのはナルトの、ここまでの真っ直ぐさを維持できる…柔軟性じゃないでしょうか。どんなに強くても強度には限界がある。一番厄介なのが折れる事です。

ペインは痛みに負けて折れてしまった…。
人々の涙に押し流されてしまったんです。
あの「泣いている国」で…。

それよりも情けないのが曲がることで、そう言う情けなさって、再不斬だったのかな…。最後の最後にはナルトの恨み節で心を抉じ開けられて、真っ直ぐさを取り戻したんだけどね。そう言う…人間は曲がっても復元できる柔軟性があるんです。そして、柔軟性があれば、強烈な衝撃が加わればしなったり、撓(たわ)んだりして、決して折れたりはしないんです。

それが、今のナルトの状況じゃないかと思います。最愛の師。良き相棒。親代わり…とも言える自来也の訃報。その空前の大激震をナルトがどんな風にやり過ごすのか?そのしなやかさにフカサクは期待しているんです。人の本当の強さとは、力や術ではない!どんな不遇にも諦めない「ド根性」だと言う事をナルトが思い出せるかどうかなんだな…。

ナルトは今、試されているのです。

ナルトは第一部と第二部の間の自来也と共に過ごした二年半の修行生活に想いを馳せます。下らない、取り留めも無いような話に明け暮れた珍道中。体術修行(自来也って体術のキレが凄く良かったですよね)。蝦蟇の頭に乗り内観(自来也は秘書蝦蟇の忠さん。ナルトは不明だけど、もしかしたら初めて呼び出したオタマジャクシが成長した子?)。

そして、水風船を使った螺旋丸の修行。その手に鈴を吊って、螺旋丸を練っています。きっと、鈴を鳴らさないように螺旋丸を薄皮一枚で圧縮し留める修行。この修行があってナルトは螺旋丸を片手で練り出せるようになったんだろうと思います。自来也は日々の修行で、一朝一夕にならない精進と言うものをナルトに教えていたんじゃないでしょうか。

そして、アイスキャンディの割り与え…。第一部の螺旋丸の修行でも一度見せた笑顔。女湯の覗き見はカムフラージュであって(脂汗)、全てはナルトを安心させない。慢心させない為の我慢だった。孫のようなナルトを…おくるみに包まれた赤子から知る…ましてや、自分が名付け親であるにも関わらず、全てをの見込んだまま伏し、ただただ扱(しご)いた自来也。

普通のオトナだったら抱きしめちゃうからね…。

ご褒美の新コス。あれは自来也のプレゼントだったんだ…。自来也がナルトの甘い顔を見せないのは親心そのものだった。自来也の事だから、ミナトを救えなかったのは自分のせいだと思ってるから、自分がナルトの親代わりに仕込んで行く使命感を感じているんです。それはサスケに対して抱くイタチの罪悪感にも似ている…。

まったく、『NARUTO -ナルト-』のオトナって…、
どんだけ凄い奴らばっかりなんだよ…敵わねえ…。

で、もう一人。ナルトの前にその…オトナが…。

「よっ!ナルト」(イルカ)

「!」(ナルト)

木ノ葉の繁華街?で傷心のナルトに不意に出会うイルカ。いつものように軽く声をかけます。木ノ葉の額当て。横一文字の刀傷。木ノ葉ベストの出で立ち。いつものイルカ先生です。

「任務でもずいぶん活躍してるみたいだな
里のみんなも噂してるぞ」(イルカ)

角都の命を一瞬で二つも削った風遁・螺旋手裏剣。そもそも螺旋丸を使えるだけで驚きで、その時点で大した忍なんだけど、ナルトのアンバランスさがそれを無効化させると言うか感じさせない。それがナルトの親近感になっているんだろうなと思います。逆にイルカなんかはそこに気付いてるから距離を感じてる。その上でナルトに何かできないかともがいてるように見える…。

「久しぶりに話でもしないか?
一楽でも行くか?ラーメン!」(イルカ)

俯くナルト。右下に落とす目線。
策謀の象限?何かを誤摩化そうとしている。

「………」(イルカ)

心配そうにナルトを見つめるイルカ。

「やめとく…」(ナルト)

いつもなら「一楽」と言えば濡れ手に粟のナルトなんだけど、それを事も無げにスルーして通り過ぎてしまいます。イルカもその反応になす術が無い。勿論、イルカも自来也の訃報は知っている。知っていて、こんな風に自然にナルトに接近してみせた筈です。これでナルトの「内」に入り込めるなら易いものだと考えたいたんでしょう。

先ずはジャブ程度。様子見。
とっぷりと陽が落ちてしまいます。

ナルトの居室。項垂れるナルト。
食べ残しのカップラーメン。

深夜の住居区?
徘徊するナルト。二十四時間の商店(コンビニ?)
その光…誘蛾灯に導かれるように迷い込む。

一人切りで座るベンチ。
二つに割れるアイスキャンディー。
自来也が片方分けてくらたヤツ。
螺旋丸修行で見せた自来也の優しさ。

それを食べられないでいるナルト。

徐々に溶けるアイスキャンディー。
滴る…<ボッ…><ポタ><ポタ>

ナルトの涙。
それを拭いも出来ないでいる…。
受け入れる事が未だできていない。

「ナルト…」(イルカ)

「…!」(ナルト)

額当てをしないイルカ。木ノ葉ベストも未着用。黒の上下。忍具も持たない…。特に驚いていないので、ナルトに偶然あったようでも無く、ナルトの住居に向かいその足跡を追尾したのかも知れません。<ゴシゴシ>と涙を拭うナルト。他人には見られたくない涙。ナルトが承服できない涙。俯(うつむ)くナルト。

「…自来也様のことは聞いたよ」(イルカ)

ベンチにそっと座るイルカ。ナルトとはやや間隔を置いています。普段なら擦り寄るナルトですが、その気配はない。俯くナルトが静かに語り始めます。昼にイルカと会った時よりは幾分かは消化できたのか?自来也の訃報。認めたくない現実…。

「オレのこと…
ずっと見てて欲しかった…

オレが火影になるとこ
見ててもらいたかったのに…」(ナルト)

「エロ仙人はかっこわりーとこばっか
見せられなくて…オレってば…」(ナルト)


この時、ナルトがイルカに対して吐露する内容は、サスケがミコトにイタチとの距離感を告白した描写(第25巻/129頁)…「オレはただ、兄さんのかわりなのかなって…」に近いと、僕は思いました。自来也の辛抱(ナルトを一度たりとも抱きしめなかった…)に対する自己無価値観と言えば良いか…。

フガクはサスケに「…さすがオレの子だ」(第25巻/120頁)と一度だけ告げてしまいましたが、自来也は一度もなかったんでしょうね。それに近い意味の言葉は吐いたろうけど、それも上手く誤摩化す巧みさが自来也にはありましたから、ナルトの語彙をもってすれば、それに翻弄された事は想像に難くない…(笑)。

「自来也様はお前のことを
いつも褒めてたよ

自分の孫のようだと
いつも鼻高々に話して下さった」(イルカ)

「お前が自分の意志を継ぐ存在だと信じてた
いずれ立派な火影になると信じて疑わなかった」(イルカ)

対して、ナルトの弱音に返すイルカのそれは、サスケがミコトに吐露した返しに酷似しています。「でも、ここだけの話…私と話すときは、アナタの事ばかり話してるのよ…父さん」(第25巻/131頁)と言ったミコトの言葉そのままです(笑)。これがイルカの愛情の本質とすれば、イルカもまた母親のように感じます。

そして、それは波の国で出会った「白」の笑顔に似ている。あの優しく魂を包むような愛し方は母親の所行に、僕には思えるのです。ナルトはイルカを父親のように感じてると言っていましたが、それは「父親」と言うものを知らない概念であって、漠然とした「親」と感じる直感ではないかと思います。

「自来也様はお前をずっと見てるさ…
今だってどこからかな

あの人はお前が
落ち込んでるのを見ても
褒めてはくれないぞ

だから…

今まで通りの
褒めてもらえるような
お前でいればいい

いつまでも落ち込んでんな!」

イルカの「今だって…」に、思わず自来也の復活を期待してしまったじゃないですか(笑)。イルカが自来也と会話していた描写は見当たらなかったんですが、きっと隠れてコソコソ会って話してたんでしょうね。イルカはカカシのように刺刺しくなくて話し易かったのかも知れません。自来也がイルカにあれこれ喋ってたのはこの後、その痕跡が露出しますから…。

イルカは頃合いを見計らって立ち上がり、ナルトに接近しています。それを許容するナルトの心の瓦解を感じたのだと思います。非常に良識に満ちた接し方だと思います。イルカはナルトの目を見て喋っています。これが父親だったら、もっと違った接し方になると思うんです。何かかなり危険な任務を一緒にこなすとか…、行動で示すんじゃないでしょうか。

言葉で何かを示すのは母親向きの表現方法だと、(非常に偏った…)僕は思うんです。想いを言葉で伝えられる母親が子育ての主導権を握ってしまうのは、父親が不器用で不在なだけが理由ではなく、こうしたコミュニケーションの質の違いにあるんじゃないでしょうか。魂の距離…と言えば良いのか?距離が近いんです。母親って…ちょっと狡いですよね(笑)。

そして、自来也はそんな母性にも似た愛情の持ち主に、ナルトの話を聞かせる事で「もしも」に備えてたんじゃないか。これはカカシでも良かったんだけど、ちょっと関係性がアレなもんで、イルカになった…。自来也は危ない橋を渡る任務を数多くこなす身だったから、何かを遺しておきたかった。そして、それをナルトに伝える為にイルカに雑談の中で仕込んで行ったんじゃないでしょうか。

自来也はナルトへの想いをイルカに託していた…

これが…自来也によって…遺されたもの…。


「!」(ナルト)

静かにナルトの持つアイスキャンディーに手を伸ばすイルカ。

「お前は、あの三忍自来也様が認めた
優秀なでしなんだからな」(イルカ)

イルカが言う「三忍」とは、自来也や綱手、それに大蛇丸らが噛み締める「三忍」とは色合いが違って、火影にも比肩する「雲の上の存在」…「目指すべき対象」を意味します。その「三忍」が認めた弟子。これは相当な持ち上げ方と言って良いでしょう。こう言う懐柔…言い方が悪い…解きほぐし方はアリでしょう。

ちなみに、先にも書いたけど、「三忍」自身はその命名の本質(=敗北)を充分に知っていますから、自分で自分を「三忍」と呼ぶのは蔑称になると思います。これは「臥薪嘗胆」(がしんしょうたん)とも言うべき戒めに近い縛りで、木ノ葉との戦争に敗れた(けど、局地的、個人的な勝負には勝ったと言いたかった…)雨影・半蔵のせめてもの意地でもあると思います。

でも、傍目には凱旋した木ノ葉の優秀な忍である自来也、綱手、大蛇丸を称える称号になった。広めたのは勿論、自来也たちではなく半蔵の筈です。自分で、「三忍」なんて自来也たちが吹聴する筈はありませんから(笑)。執念深い半蔵があの手この手で布教したんです。きっと…。それが良い意味合いで定着してしまった…(笑)。

それは自来也たちには痛痒い想い出だったんだろうな…と思います。しかし、その名を勇名にしたのは、それ以降の「三忍」の努力や頑張りがあった事は間違いない。文字通り、三人は「臥薪嘗胆」を実践し、自分を磨いたのです。そして、もしそれを半蔵が意図したのだとすれば、半蔵も『NARUTO -ナルト-』の立派なオトナの殿堂入りになるんですがねーッ!!(笑)

ナルトは自来也に何一つ認められずに逝かれたのが耐えられなかったのです。それをイルカが上手く補完した。これは相当に濃厚なシミュレーションをした結果だと思います。昼間に一度、イルカはナルトに接しましたが、その時も自来也の訃報は織り込み済みだった筈です。そこで何とかなればそれで良しで行ったけど駄目だった。

それで、一度引いて頃合いを見計らった。きっとナルトを着けていたんだと思います。そして、ナルトがアイスキャンディーをコンビニで買うのを見ていた。そして、それを「機」と判断した。自来也とイルカはかなり話をしていたんだと思うんですが、第一部の螺旋丸の修行のアイスキャンディーのエピソードも聞き及んでいたのでしょう。

それは、自来也もしまった…と反省した行いだったのかも知れないです。ナルトに優しくしてしまった自分を戒めたのかも知れない…或いは、これくらいは良いかな…みたいな言い訳めいた自白をイルカにしていたのかも知れません。要するに、自来也はアイスキャンディーをナルトに割り与えた事をイルカに話していたのです。

だから、自然に…溶けそうだったアイスキャンディーをナルトの手から取って、二つに分けた。普通なら割らずに口元に運ぶかなにかするでしょうから。そして、その行いをナルトに示す事が、自来也の吐露=「ナルトの自慢話」をソフトに肯定する事に繋がるのです。イルカが示す優しさに、ナルトは自来也の匂いを感じたんじゃないでしょうか。

ナルトは「信憑性」で判断するのでなく、本能的な知覚で物事を感じますから、こう言うサブリミナルな提示は効果があるんです。そして、フカサクが心配した「心」が(ペインのように)折れたり、曲がったりする最悪の事態は回避できたと思われます。それはイルカの功績でもありますが、フカサクが期待したナルトの「強さ」が証明されたとも言えます。

これからナルトたちの行く手には、本当の強さとは何か?そして、それは何故、必要なのか?それを問われる戦いが待ち受けているのです。何でこんな良い子たちが闘わないといけないのか?そもそも、闘いってなんなのか?その問いに対する答えを、ナルトたちは探し求めているんです。

「………」(ナルト)

「ありがと…イルカ先生」(ナルト)

片方のアイスキャンディーを受け取るナルト。それは、自来也の残した「承認」でもあるのです。自来也がナルトを褒めていた。賞賛していた。その事実がナルトに伝えられたのです。ここでイジケずに受け入れられるナルトもはっきり言って凄い!!(笑)この真っ直ぐさに光明を感じるのは、僕が汚れたオトナだからかな…と、ジワッと考えるケルベロスです(脂汗)。


一方、火影の司令所。時間はやや戻るのかな…?
ナルトが執務室を飛び出したちょっと後のシーンでしょう。
フカサクの背中の暗号…それを見せられるシカマル。
頭脳を要する任務と言えばシカマルしかないからね…。

9(タ?),31,8
106,7
207,15


「それを持って今すぐ行って来い」(綱手)

「え!今からっスか?」(シカマル)

「暗号解読班の奴らって
こんな時間まで仕事してないっすけど…」(シカマル)

「私に命令だと言って招集しろ
とにかくこの件はお前に任せた」(綱手)

「ちょ…どこ行くんスか?
オレは元々別件でここに…」(シカマル)

この綱手のグダグダっぷりからすると、ナルトが出て行ったすぐ後っぽいです。サクラが「でも…」と振り返ったカットから、そう時間は経過していない筈です。多分、空気を読んだカカシが一同を部屋から出した後にシカマルがノコノコとやって来たんだと思います。そして、それが別件であろうと、綱手は堪らずシカマルに丸投げしてしまったんだと思います。

サクラがここに残っているのは弟子だし、秘書的な任務も兼務する形で受け持っているからでしょう。シズネもサクラが残るから外したんだろうな。そして、サクラの女心が綱手にシンパシーを感じてます。サクラは「でも…」と振り返った時点で、綱手の"テンパイ"を察してましたからね。サクラもかつて似たような「痛み」を感じてますし…ね。

「シカマル!」(サクラ)

「でもよ…」(シカマル)

「今日は綱手様は朝からずっと忙しくされてたから」(サクラ)

「そりゃこっちだって…」(シカマル)

「シカマル、お願い…」(サクラ)

サクラは良い女になって来たな…と思います。綱手の想いを察する事が出来るくらいに成長している。ここにシズネがいたら、サクラもこんなに頑張らなかったんだけど、シズネはシズネで何かあったんでしょう。それで、サクラは執務室に居たのかもね。そして、それが功を奏した。シカマルだけだったら綱手にぶっ飛ばされかねない状況ですからね。

男の子って、鈍いですから…。特に恋愛経験の乏しい木ノ葉の少年たちは「女心」ってものが全く判ってない!!(笑)何か変な精神操作とかされてないか心配なくらいです!こんな時は二つ返事で何でも了解して女を楽にしてやるのが、男ってもんだろう!シカマルよッ!!もっと、女心を敏感に察しやがれッ!!(笑)

「?」(シカマル)

「……」(サクラ)

綱手の回想…。壁に凭れて斜に構える若き日の猿飛先生。美しき黒髪の大蛇丸(綱手's eyeはむしろこっちにむかってるのかもね)。右手を出して握手を求める自来也。それに、屈託の無い自己紹介が加わります。綱手のアカデミー卒業→弟子入りのタイミングでしょうね。つまり、6歳くらい?ほぼ50年前の一場面…。

「はじめましてだな…
オレ、自来也ってんだ!
ラブレターは後でいいぜ
よろしく!」(自来也)

<ニシシ>(自来也)

この笑顔は自来也の時限爆弾だ。自来也は出会った瞬間から綱手が好きだったんだな…。それを変わらず50年もの永きに渡って貫いた。真っ直ぐに愛し通した。自来也もまた強き人だったのです。何度断られても折れたり曲がったりはしなかったのさ。一人の女性を変わらず愛し通すなんて…自来也らしい生き方じゃないですか…。

「バカヤロー……」(綱手)

火影の執務室を出てすぐに、綱手は壁に寄り掛かり泣いてしまいます。誰もいない廊下。辺りに人気の無いことは検索済みです。綱手が自来也を雨隠れに潜入させたのは仕方の無い事だった。極めて危険な任務であり、自来也しても死の危険性がある事も予想はできた…。行かせたくなかった…。しかし、自来也を止められない事も判っていた。

一刻も早く執務室を立ち去りたかったのは綱手本人だったのです。恐らく、フカサクに事の真相を知らされてから今まで綱手は泣いてなかったと思います。ズーッと我慢してたと。その堰が今、切れてしまった。ちょっとくらい良いじゃないか…。少しの間、思い切り泣かせて上げようじゃないですか。何も示さない…。そう言う優しさってのも、時にあるのです。


 

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