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カカシはどんな"夢"を見るのか?


「カカシは"木ノ葉の白い牙"
恐れられた天才忍者はたけサクモさんの息子でね…
その親父さんの前では"伝説の三忍"の名前すらかすむほどだった」

「カカシ外伝」(第27巻/103頁)…カカシと衝突したオビトを宥(なだ)めるように、ミナトはカカシの生い立ちをオビトに伝えるのでした。ミナトは三忍の一人、自来也の愛弟子ですから、三忍が意味は充分に知っている立場です。だから、このサクモへの賞賛は満更、世辞でもなく、ミナト自身のの的確な評価があったものと思います。ミナトも目立つ存在だったから、サクモの方からの接触もあったろうし、実際に任務を共にしたり、戦火を潜った経験があったのかも知れません。

5歳でアカデミー卒業。6歳で中忍昇格…カカシの経歴は恐らく、現在登場キャラクターで最も優秀だと言えると思います。しかし、中忍昇格の6歳から上忍昇格…神無毘橋の戦いの13歳まで7年もの間隔があり、この間にサクモの自殺を経験して、やさぐれた生活を送った想定が生まれます。ま…それでも優秀な事に変わりはないんですが、もしサクモに不幸がなく存命していれば、間違いなくもっと早かった筈です。下手したら上忍への一桁(9歳)昇進もあったんじゃないでしょうか。

「忍者学校始まって以来の天才…
あの子ほど優秀な生徒は今までいませんでしたよ
何一つ世話することも無いぐらいにね」(ふねのダイコク)

サスケのアカデミー入学時(第25巻/71頁)、教官がイタチを褒めちぎり、その白眉っぷりを「初」みたいに言うのは、サクモがカカシに付きっきりでアカデミーを軽視するような経緯があった事を臭わせています。例えば、カカシは入学式と卒業試験くらいしか登校してないとか…そのくらいガチガチにカカシを抱え込むように教育したから、アカデミーの教官には不評か印象に残らなかった…カカシより卒業年齢の高いイタチを「初」としたと思います。つまり、サクモは超スパルタの「師」だった…と。

ミナトの回想ではシルエットでカカシとサクモが示されていますが(第27巻/103頁)、カカシはサクモの太ももをしっかりと掴み、サクモもカカシの頭にそっと手を置いています。母親の描写は一切ありませんが、カカシが物心ついた時には既に居なかったんじゃないかと思います。だとすれば、サクモは男手一つでカカシを育てた事になる。そして、二人のシルエットから想像すると、決して、厳しいだけの忍術の先生ではなく、カカシの心の拠り所となる大きな大きな存在だったであろう…と感じます。

「一人前の忍なら決まりやルール
ちゃんと守るのが当たり前でしょーよ!」(カカシ)

神無毘橋でオビトに見せる氷のように冷淡な眼差しや、「掟やルール」を楯にしたガチガチの思考(第27巻/70頁)。それは父・サクモを自殺に追い込んだ木ノ葉隠れの仕打ちをそのまま踏襲するように…そこまでしてでもサクモの死を肯定しなければならない、歪んだプライドに支配されるカカシの悲しい選択を物語っているように感じました。今のカカシからは想像もつかないような歪(いびつ)さを生み出す大きな悲しみ…。それほど、サクモの自殺はカカシにとって大きな痛手だった…と思われます。

今、カカシは胸まで瓦礫に埋まった状態で首を項垂れて休んでいます(第425話「はたけカカシ」)。カカシはそこで夢を見ています。昔、バカだった頃の自分。神無毘橋でのオビトとの悲しい別れ。リンの笑顔。オビトとの約束…。アカデミーを卒業した新米忍者達。ナルト、サクラ、サスケ…。それらを守ったオビトの写輪眼。その眼で見渡して来た風景、歴史…それらをもう見る事は叶わない…とする弱音。懺悔。そして、闇。無限に続くように感じられる…「死」の世界。カカシはそこに向かおうとしています。ま…夢の中の話ですがね…(笑)。

しかし、暖かな焚き火の炎が、カカシの行手を阻みます。

「カカシか…?」(サクモ)

「…こんな所に居たんだ…」(カカシ)

「お前の話を聞かせてくれないか?」(サクモ)

「ああ…すごく長くなるから
ゆっくり話したいんだけど…」(カカシ)

「ああ…いいさ」(サクモ)

「あのね父さん」(カカシ)

カカシはそこでサクモに再会します(第425話/「はたけカカシ」)。サクモの死はカカシの6歳から13歳の間の…かなり早い時期にあったでしょう。ミナトの示し方からしても三忍よりも年長のようでしたし、自殺した年齢は今のカカシと同じくらい…30歳程度じゃなかったかと思います。しかし、それよりはお年を召されているようですから、カカシが再会したサクモはカカシの想い出の中でカカシと一緒に歳を重ねたサクモ(55歳~60歳程度)だったんじゃないかと、僕は考えています。

冒頭の仔カカシや岩の下敷きになったオビト…二人の写輪眼が三つ巴文様であるのも、当初、ミス?かとも思いましたが、これはカカシの「夢」でありますから、カカシのイメージによる合成であると考える事も出来る訳で、今と昔が混濁した状態で、別段、考証が必要とも思えません。だから、別にサクモさんがフケ顔だった…でも良いけど、描写に間違いを見出すのではなく、「描写こそ全て」と受け止めて考える心構えの方が大切だと、改めて感じました。でないと、「考察」そのものが成立しません…。


カカシはどんな「夢」を見るのか?
illustrated by Cerberus

(…オレも…今からそっちへ行くよ)(カカシ)

しかし、何故、オビトやリン、そしてミナトを思いながら歩んでいた筈のカカシが、こうしてサクモを見付け、歩みを止め、その傍らに腰を降ろし話を始めるのでしょうか。暖かな焚き火が焼(く)べてあるもんだから?カカシはオビトやリンのところに向かって歩んでいたのに…。「そっち」って多分、三途の川の向こう側…死んだ人の世界ですよね。カカシは自分が「死ぬ」と思ってますから…。一時的にチャクラが底を突き意識が昏倒して「闇」が訪れて、気が弱くなってるだけなんだけど…。

「…こんな所に居たんだ…」

…と、カカシの反応…サクモはオビトやリンとは違います。カカシはオビトやリンのところ(そっち)へ行く=「死ぬ」であり、オビトやリンは死んでいると言う認識があるにも関わらず、その道行きの途中で再会したサクモには「死」を感じていません。カカシがサクモが死んだ人だと認識しているならもっと違う反応があったと思うんです。夢の中にありがちな現実と虚構の混濁。カカシはサクモが待っていてくれたから立ち止まった。カカシはサクモと逢いたいとズーッと願っていたのだから…。

「…すごく長くなるからゆっくり話したい…」

それは、カカシがサクモに話したい事がたくさんあったからです。。子供の頃は修行修行の毎日だったろうし、早くに母を亡くしたであろうカカシにサクモは「力」を与える事で自らの「愛」を示すのが精一杯だったでしょうから。カカシは賢いから、そんなサクモの不器用さも解った事でしょう。そして、その「愛」に感謝した筈です。でも、カカシも幼く、サクモは厳しかったから、こんなにノンビリと言葉を交わす機会なんて無かった筈です。それがカカシが時間を要求する理由です。

あれからカカシは成長しました。大切な友との出会いと別れ。戦争。任務。そして、自分を慕う子らの存在。それらがカカシをこうしてサクモと並び座らせ、「長い話」をさせるまでに育てたのです。いろんな戦いを経験してこんなに立派な忍になれた事!!子供の頃に離れ離れになってしまったから、他にも沢山、伝えたい事がある。ズーッと探していたんだよ。どんな時だって忘れた事はなかった。片時も父さんの事を想わない時はなかった…と、カカシは伝えたいんだと思います。

そして、どうしてもサクモには伝えたい事がありました…。
それは…あの神無毘橋の戦いで「魂」を揺さぶられた親友の言葉…。

「オレは"白い牙"を本当の英雄だと思ってる…
…確かに忍者の世界でルールや掟を破る奴は
クズ呼ばわりされる…けどな…

仲間を大切にしない奴はそれ以上のクズだ
どうせ同じクズならオレは掟を破る!

それが正しい忍じゃないってんなら
忍なんてのはオレがぶっ潰してやる!!」(オビト)

カカシの捩(よじ)れた性根がオビトによって叩き直された瞬間でした(第27巻/124-125頁)。カカシはこの言葉で自分の「バカさ加減」に気付いています。そして、何より嬉しかったのはオビトがサクモを「英雄」と認めてくれたところでしょう。カカシは何をおいても、この嬉しい言葉をサクモに伝えずには居られなかった筈です。

きっと、手振りを加え、ある時は立ち上がりながら…襲いかかる岩忍と勇敢に戦った武勇伝と共に、カカシは雄弁にサクモに伝える事でしょう。それを、サクモはニッコリと微笑みを浮かべながら、何度も頷きながら聴いてくれる…。まるで、二人の失われた数十年を埋めるように…。縺(もつ)れた糸を解(ほぐ)すように…。

カカシは自分だけに厳しいから、普段はこんな夢すら見る事を許さなかったのだと思います。今はもう自分は死んでしまう…(死ぬ死ぬ詐欺)と思い込んでいらっしゃるので、今回くらいは「ま…いいか」と、こんな夢を見ているのです。そう、今まで見たくて見たくて、それでも我慢して来た「夢」をカカシは見ているのです。

「その任務が元で心も体も悪くしたサクモさんは自ら…
カカシはそれ以来親父さんのことを口にしなくなり
掟やルールを守ることに固執しはじめた…」(ミナト)

カカシの捩れた性根…ってのは、サクモを苦しめ死に追いやった「掟やルール」のみを遵守する、ある意味、意固地(いこじ)な反攻であり、無慈悲な道具(=忍)になり切る事が里に対するせめてもの復讐だったのだと思います。カカシはそうする事でサクモや、サクモの「死」を忘れようとしてたんじゃないかと思います。

「白銀の髪にその白光のチャクラ刀…
…まさか…お前…"木ノ葉の白い牙"!?」(タイセキ)

「これは父の形見だ」(カカシ)

しかし、オビトにその性根を叩き直された直後、背中の「形見のチャクラ刀」を振りかざし、言わないでも良いのに自分が"木ノ葉の白い牙"じゃない事まで高らかに宣言してしまい、それに安心して攻撃して来る敵に左目を傷付けられ失明してしまいました。これは笑い事じゃないくらいの失態ですが、それ程、カカシは嬉しかったんですね。

オビトは頑なカカシの心を自由にしてくれたんです。素直に亡き父・サクモを誇れるように、過去に捕われて自由に生きられないカカシの心を解き放ってくれたんです。その嬉しさをカカシはサクモにどうしても伝えたかったんです。だから、この真っ暗闇の中、カカシはサクモと向き合い、それを話す「夢」を見ているんだと思います。

ところで…これはカカシが見た「夢」なのか?それとも、サクモがカカシに見せた「夢」なのか?そこんところは未だにハッキリしません。カカシがサクモとゆっくり話がしたい…と思っていた事も確かだし、サクモがカカシが簡単に死んでしまおうとしている事を咎(とが)めに舞い降りたようにも見えます。そして、この真っ暗闇の中でご丁寧に焚き火まで焚(た)いて待ってる辺りはサクモ主導の"カカシご臨終阻止作戦"みたいな臭いもして来ます(笑)。

それに、カカシは一人で「そっちへ行く」なんて言ってますが、オビトやリン、そしてミナトは一言もそれに応えてはいないし…。これはカカシの「夢」ではあるんですが、それにカカシの中のサクモが作用している…と考えるのも、カカシの潜在的な願望(ホントは生きたい!!死にたくはない!!)がサクモの存在を介して働きかけていると考えるのも、心理学云々の硬い話は抜きに考えられない事じゃないと思います。

ところで、このエピソードで天道とカカシが殺り合う中、お誂(あつら)え向きにカカシが「額当て」を喪失している描写に、僕は注目しています。カカシの夢見編に突入してから、オビト、リン、ミナト、そしてサクモまで、今は亡き人も登場して来ましたが、皆一様に木ノ葉の「額当て」をしています。カカシだけです。「額当て」をしていない忍って…。きっと、サクモはそれに気付き、自分の「額当て」をカカシに託すんじゃないか…と。

そして、やはりカカシはまだ「向こう」でやるべき事があると、諭すんじゃないでしょうか。それは父としての言葉であり、サクモの想い残しでもあると思うんです。悲しい事件があって、心と体を害し、ちゃんとお別れが出来ないまま、カカシを独ぼっちにしてしまったから…、カカシを諭す事で、サクモも想い遺す事無く川を渡れる…。今度こそ、ホントのお別れが出来る。だから、カカシよ…生きろ。そして、お前の成すべき事を為せ…。

「お前はオレの誇りだ!!」

サクモはカカシにその「言葉」を伝えたいんじゃないか。その一言を伝える為にここで焚き火を焚き、弱気になってトボトボ歩む我が子の目を醒ませようとしてるんじゃないでしょうか。積もりに積もった話が終わったら、カカシは静かにこの「夢」から醒める…。優しく強いサクモの大きな手に揺り動かされ目を醒ます…そして、前にも増して力強く、カカシは歩み始めるんじゃないでしょうか。カカシはきっと帰って来る!!

「これから"木ノ葉の黄色い閃光"
戦いが見れるぜ…一瞬だ、見逃すなよ」(第27巻/131頁)

そして、カカシは夢現(ゆめうつ)つに、"蛙組手"の機動力と、仙術チャクラの戦闘力。そして完成した仙術・螺旋手裏剣を振るうナルトが支配する戦場を目の当たりにする事になる。その時、カカシはかつて戦場を駆け抜けた"木ノ葉の黄色い閃光"を思い出す事でしょう。それは、夢か現(うつつ)か判らないくらい一瞬で収束する"閃光"を頼りに闇を抜け出す…そして、その微睡(まどろ)みが、「夢」から醒めた「夢」のように…何故だかカカシには…暖かく…心地よく…頼もしく…。


   

ナルトの"通り名"は何がいいだろう? | BLOG TOP | 第425話「はたけカカシ」(シズネ考量編)

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